原価率のお話しです。飲食店で原価率っていえばよく「3:3:3:1の法則」ってありますよね。要するに売り上げの3割が「原価」3割が「人件費」3割が「荒利益」そして1割が家賃。まあ、これが目安ですよっていう指針がありました。パン屋の場合は25%を目指しなさいと会社に言われたもんです。
でもこの原価率は各お店の状況によってまたは業種によって全く変わってきます。従業員を何人も雇って街の一等地で売り上げを大きく伸ばすお店と田舎や街中で家族経営のお店で原価率が一緒ではおかしいのです。
飲食店で利益を出すための重要でないなコストが「FLコスト」です。「F」=原材料費、「L」=人件費です。この「原価率」と「人件費」を合わせて60%以内に抑えなさいという記述が多いです。でないと利益出ませんよ、ということです。
先ほど申し上げたように売り上げが月間500万円以上のお店では30%の人件費と30%の原材料費が基準になりますが、では誰も雇わずに夫婦二人で商売をする場合(ちゃんちゃん経営)は違ってきます。
夫婦二人のお店でも当然人件費は二人分かかりますが、考え方として誰も雇わないので外に出ていくお金がないのです。その考えで行くと人件費は0と考えてよい。じゃあFLコストは原材料費率の「30%」だけで済むから大儲けできるやん!!ではないのです。
ここでの考え方は「原材料比率を高く設定できる」です。例えば原価率を50%にしても儲かるのです。原価率50%ということはお客様にとっては「とってもお得」なんです。例えばとても良い素材を仕入れることが出来たりボリュームを出すこともできます。
実は私の経営する市島製パン研究所がこのパターンです。私のお店は基本的には夫婦二人で営業しています。ランチ時の4時間程度アルバイトに来てもらってますが人件比率としては5%ほど。なので原材料にこだわれるのです。北海道の帯広産(ポストハーベストフリー)、市島産のオーガニック野菜、北海道産よつ葉バター、芦田ポートリーの玉子等々。これだけ使っても適正価格で販売できます。これはお客様にとっては価格は一緒でもお得なんです。するとお客様の満足度が高くなりまたご来店いただけるという幸せのループに入ります。
結論から言うと、飲食店は原価率30%の縛りに捕らわれることなくそのお店の状況で原価率は変えていかないといけません。で、結果一番大事な「利益」を確保するのです。「利益」が出ないとお店は続きませんから。